医療現場の「指示待ち」を打破せよ!次世代リーダーを育てるハイブリッド型人材育成の全貌
COVID-19を経て、医療現場はかつてない「VUCA時代(変動性が高く不確実で複雑、曖昧な時代)」に突入しました。働き方改革の推進や物価高への対応など、課題が山積する中、従来の「指示・管理型」のリーダーシップは限界を迎えています。今、組織を牽引するために求められているのは、スタッフ一人ひとりが自ら考え行動する「セルフマネジメント」の力です。
本記事では、多忙を極める医療機関が、いかにして「自律型リーダー」を育成し、組織全体のパフォーマンスを底上げしていくべきか、その具体的な戦略と実践の仕組みを紐解きます。
現場のジレンマ:評価されるスキルと「学べる環境」の乖離
「専門性」だけでは現場は回らない
医療機関には国家資格を持つ専門職が多く在籍しており、日々の教育も専門スキルの向上に偏りがちです。ある200床クラスの病院の事例では、院内研修の約53.8%が職能(専門)スキル研修に割かれ、セルフマネジメントや組織マネジメント領域の研修は全体のわずか20%程度にとどまっていました。
しかし、人事評価の現実を見てみるとどうでしょうか。一般職であっても「チームワーク」や「後輩支援」 、役職者になれば「経営参画」や「部下育成」、「コスト意識」といったマネジメントスキルが厳しく問われています。つまり、「評価基準にはマネジメント力が組み込まれているのに、それを体系的に学ぶ機会が現場に提供されていない」という深刻な乖離が起きているのです。
ポストコロナの教育戦略:限られた資源で最大効果を生む
「集めるだけの研修」からの脱却
COVID-19以降、入院患者の減少やコスト高、採用難による紹介手数料の高騰などにより、医療機関の経営環境は厳しさを増しています。今まで以上に教育への投資が抑制される懸念があるのが現実です。
さらに、働き方改革への対応が急務となる中、かつてのように「業務時間外にスタッフを長時間集めて行う集合型研修」を維持することは不可能です 。そこで現在のトレンドとなっているのが、eラーニングによる事前の「インプット(座学)」と、短時間のワークによる「アウトプット」を組み合わせた「ハイブリッドタイプ」の教育手法です。これにより、効率的かつ効果的に学びを現場へ定着させることが可能になります。

「わかる」を「できる」に変える:行動変容を促す3つのステップ
eラーニングの落とし穴と「自己効力感」の醸成
手軽なeラーニングを導入しただけで「教育した気」になってはいけません。動画を見るだけでは、実際の「行動変容」には繋がらないからです。学びを実践に移すためには、「自分にもできる」という自己効力感を高める必要があります。
行動変容を促すためには、以下の育成サイクルを回すことがカギとなります。
インプット: 医療機関特化型のマネジメント教材(Waculbaなど)を活用し、体系的な知識を事前学習する。
アウトプット: 学んだ内容を持ち寄り、定期的なゼミ(ワークショップ)を開催して参加者同士で対話する。
気付きの共有: アンケート等を通じて、他者の視点や自らの気付きを言語化し、現場での実践へと繋げる。
実際にこの仕組みを導入した結果、eラーニング単体よりも、ゼミに参加してアウトプットを行った層の方が、自己効力感が有意に向上したというデータも出ています 。

成長を可視化せよ:人事評価システムが導く「自走する組織」
学ぶ文化は「仕組み」で作る
教育施策の集大成は、その成果を適切に評価し、フィードバックすることです。人事評価システム(人事評価Navigatorなど)を導入し、紙運用から脱却することで、過去からの成長記録のモニタリングや、期日管理の徹底が可能になります。
興味深いことに、人事評価結果とeラーニング(Waculba)の視聴時間には明確な相関関係があります。高評価者は必修以外の動画も主体的に視聴し、自走して学んでいるのです。 組織において重要なのは、優秀な2割を褒め称えることだけではありません。中間に位置する「6割の層」にいかに「学習しよう」という文化を醸成させるかです 。視聴データと評価システムを連携させ、育成状況を可視化することで、自ずと「次のリーダー」の原石が浮かび上がってきます。

【総論】医療の未来を創る、経営トップの決断
医療現場における「マネジメント教育の欠如」は、個人の能力不足ではなく、組織の構造的な課題です。専門知識だけでは乗り切れないVUCA時代において、ICTを活用した「ハイブリッド型の学習」と、適切な「人事評価システム」の連動は、もはや福利厚生ではなく、生き残りをかけた最重要の経営施策と言えます。
「次の医療マネジメント人材を育てる」という覚悟を持ち 、現場のスタッフが失敗を恐れずに学び、行動を変えられる「仕組み」を構築すること。それこそが、質の高い医療サービスを持続的に提供し、次世代の医療を切り拓く唯一の道なのです。明日から、あなたの病院の「学ぶ環境」をどうアップデートしますか?
ワカさんのひとこと
ワカさん
この記事は、2024年12月~2025年2月に行われたセミナー「医療機関における次世代リーダーの育成システム構築のトレンド! ICTを活用した人材育成・人事評価のポイント解説セミナー」から一部資料を参照しています。


